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経済倫理=あなたは、なに主義?

 橋本努『経済倫理=あなたは、なに主義?』(講談社、2008年)は、経済政策に対する自分の考え方に一貫性があるのか、あるとしたら、それはどのような思想として位置付けられるのかを教えてくれる。

 政府による恣意的な介入を認める立場(包摂主義・介入主義)と、それを否定する立場(非包摂主義・不介入主義)との対立は一見明瞭であるが、実は、いずれの立場にあっても、さらに内部で異なる考え方が対立していることを、この本は浮き彫りにしてくれる。つまり、例えば同じく包摂主義と言っても、その中には、M・フーコーのいう「司祭権力」型と「規律訓練権力」型とがあることを理解しなければならず、さもなくば、意見の対立軸が不明確になるというわけだ。

 前者の考えは、「強者が『慈愛心』をもって弱者に接し、弱者を国家に依存させながら、社会全体を統治しようとする」ものであるのに対し、後者は、「人々が政府に依存しなくても生きていけるように、人々を『主体的で自律した人間』へと育てよう」とする考え方である。

 私は、この区別を読んで、大富豪である鳩山総理がどういう気持で「弱者保護」を語っているのかが理解できた気がして、いささか不気味さを感じた。

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