原英史『官僚のレトリック』(新潮社)
みんなの党の党首である渡辺喜美議員が行政改革担当大臣だった頃、その補佐官として活躍された原英史さんから、『官僚のレトリック』(新潮社)というご著書を頂戴しました。
安倍内閣、福田内閣における公務員制度改革を振り返りながら、真の「政治主導」、真の「脱官僚政治」とはどのようなものなのかを分かりやすく説明するとともに、現在の民主党政権の「政治主導」が本物と言えるのかどうかについて、鋭く分析を加えています。
当時、私は「官民人材交流センターに関する有識者会議」のメンバーとして、原さんと一緒に仕事をしておりました。私自身、この会議(併せて「年金業務・組織再生会議」もまた並行して開催されていました)に出席するため、毎週のように総理官邸に足を運んでおりましたので、本書に書かれている出来事の多くは自ら経験したことでもあり、とても懐かしく読ませていただきました。
例えば、本書の132頁では、私のことも次のような形で取り上げてくださっています。
「センター懇談会では、『渡りの即時禁止』も争点となった。『渡り』とは、もともとは『渡り鳥』人事と呼ばれていたものがついつの間にか省略されたようだ。いったん天下った官僚OBが、次々に別の天下りポストに渡っていくことを指す。そのたびに高額の退職金が支払われるケースも多い。」
「これについて、センター懇談会委員の野村修也中央大学教授・弁護士は、『すでに退職したOBに対して再就職斡旋を行うことは、法令上の根拠が全くなく、新たな天下り規制の施行を待つまでもなく違法行為ではないか』と主張した。必ずしもセンターの制度設計と直結する話ではなかったが、他の委員も賛同し、懇談会として『渡りの即時禁止』を提言するしようということになったのだ。」
実は、この提案が、その後、福田内閣の町村官房長官(当時)を巻き込んで、ある事件へと発展していくことになるのですが、その点については、是非とも、本書をご一読いただければと思います。
いずれにせよ、単なる官僚バッシングではなく、日本の将来を見据えた真の「政治主導」への提言を含んだ本書を、1人でも多くの方々にお読みいただきたいと思います。
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