テレビ寺子屋で「金融ADR」を取り上げました
日テレNEWS24まーけっとNaviで放送中の「テレビ寺子屋」。今週は、金融ADRを取り上げました。この制度の導入に当たっては、金融審議会の委員として審議に参加していましたので、解説には少々熱がこもりました。
主な内容は次の通りです。
今年の通常国会で金融商品取引法をはじめとする各種の業法が改正され、金融ADRに関する法整備が行われました。ADRとは裁判外の紛争解決手段で、仲裁、調停、斡旋といった手段を用いながら、中立的第三者が介在する形で民事紛争の解決を図るものです。裁判に比べ、安易・迅速・安価といったメリットがあると同時に、非公開であるためプライバシーや企業機密を守りやすいといった特徴も備えています。また、専門性が高いため裁判官では合理的な判決を下しにくい分野でも、専門家にADRを頼めば納得感のある解決策が示される可能性もあります。さらに、必ずしも法律にとらわれないため、内部調査・再発防止・謝罪などといった通常の裁判では命じられない内容を、和解の条件とすることもできます。
これまでも、法務省が所管するいわゆるADR促進法や、金融庁が所管する金融商品取引法などを通じて、ADR機関に一定のお墨付きを与えると同時に、時効中断などといった特別な効果を与える方策が講じられてきました。しかし、それらの法律では、ADR機関が示す和解案に拘束力が与えられていないため、効果的な紛争可決が図りにくいといった限界が存在していました。
今回新設された金融ADRの場合は、金融機関があらかじめADR組織と契約を結び、そこが示す和解案を尊重することを約束することが要求されます。施行は1年半近く先になる見通しですが、このことによってADR機関は金融機関側から裁判に持ち込まれることを心配しなくて済むようになりますので、裁判準拠型ではない新しいタイプのADRを促す契機になるものと予想されます。
詳しくは、動画をご覧ください→こちら。
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